偽士業に注意――その依頼、本当にその人がやっていい仕事ですか?


私事ですが2026年から起業というほどではないですがビジネスを始めてある程度周知しているためか営業的な電話やDMが届くようになりました

しかし実際にやっていることはなかなかわかりにくいもの

中小企業や個人事業主を取り巻く支援サービスは年々増え、コンサルタントやアドバイザー、代行業者など、さまざまな専門家が存在し、経営者にとって心強い存在であることは間違いありません。

しかしその一方で、本来は法律で定められた資格者しか行えない業務に、無資格者が踏み込んでしまうケースも少なくありません。

依頼する側に悪意はなくても、知らないうちに違法なサービスを利用してしまう可能性があります。

そこで今回は、経営者や事業主が知っておきたい「士業の独占業務」と、よく見られる問題事例について紹介します。

士業には「独占業務」がある

弁護士、税理士、社会保険労務士、司法書士、行政書士などの士業には、法律によって認められた独占業務があります。

つまり、一定の業務については資格者以外が報酬を得て行うことができません。

もちろん、一般的な経営相談やアドバイスまで禁止されているわけではありません。しかし、実際の書類作成や代理行為、専門的な手続きになると話は別です。

問題となるのは、「コンサルティング」と「士業業務」の境界線を超えてしまうケースです。

弁護士――法律相談や交渉の代理は弁護士だけ

弁護士には法律事務を取り扱う権限があります。

例えば、

  • 未払い代金の回収交渉
  • クレーム対応
  • 示談交渉
  • 訴訟代理
  • 法律相談

などです。

経営コンサルタントや知人が、

「私が相手方と話をつけます」
「代わりに交渉します」

といった形で報酬を得て対応した場合、いわゆる「非弁行為」とみなされる可能性があります。

アドバイスをすることと、依頼者の代理人として交渉することは全く別の行為です。

税理士・公認会計士――税務申告は専門資格の領域

税理士には税務代理や税務書類作成の独占業務があります。

例えば、

  • 確定申告書の作成
  • 法人税申告書の作成
  • 税務相談
  • 税務代理

などです。

近年はクラウド会計ソフトの普及により、記帳代行サービスも増えています。

しかし、単なる入力作業を超えて税務判断を行ったり、申告書を作成したりすることは税理士の業務に該当する可能性があります。

なお、公認会計士は税理士登録を行うことで税理士業務を行うことができます。

社会保険労務士――人事労務の手続きには注意

社会保険労務士は労働・社会保険分野の専門家です。

代表的な業務には、

  • 労働保険の手続き
  • 社会保険の手続き
  • 就業規則の作成
  • 労働基準監督署への届出

などがあります。

給与計算代行や人事コンサルティングを行う事業者も増えていますが、

「社会保険の加入手続きを代行する」
「労働保険の届出を提出する」

となると社労士の業務に関わってきます。

給与計算はできても、行政手続きまで自由にできるわけではありません。

司法書士――登記は専門家の仕事

会社設立や役員変更などの場面で登場するのが司法書士です。

司法書士は、

  • 不動産登記
  • 商業登記

に関する申請手続きを担います。

例えば、

  • 株式会社設立
  • 本店移転
  • 役員変更
  • 増資

などの登記です。

最近では会社設立支援サービスも増えていますが、実質的に登記書類を作成し、申請手続きを代行する行為には注意が必要です。

行政書士――官公署提出書類の専門家

行政書士は官公署に提出する書類作成の専門家です。

代表例として、

  • 建設業許可
  • 飲食店営業許可
  • 古物商許可
  • 各種許認可申請

などがあります。

事業を始める際に必要となる行政手続きの多くは、行政書士が専門家として関与しています。

近年はオンライン申請の普及で手続きが身近になりましたが、だからといって誰でも代行できるわけではありません。

補助金・助成金支援で増えるグレーゾーン

最近特に増えているのが、補助金や助成金の申請支援サービスです。

国や自治体は中小企業向けの支援制度を数多く用意しており、それに伴って補助金コンサルタントや採択支援サービスも急増しています。

制度の紹介や活用方法のアドバイス、事業計画づくりの支援そのものは問題ありません。

しかし、申請書類の作成や提出代行になると注意が必要です。

実は補助金や助成金は、制度によって関係する士業が異なる場合があります。

例えば、

  • 雇用関係の助成金 → 社会保険労務士
  • 許認可や官公署提出書類に関係するもの → 行政書士
  • 税務に関わる手続き → 税理士

など、所管官庁や申請内容によって専門資格が変わることがあります。

そのため、

「補助金申請を全部代行します」
「採択まで丸投げできます」

という広告を見かけた場合には、どの資格を持ち、どこまで対応できるのかを確認することが大切です。

事業計画のブラッシュアップや経営面の助言はコンサルタントでも可能ですが、官公署に提出する書類の作成や手続代理は別問題です。

「コンサルだから大丈夫」とは限らない

近年は、

  • 補助金コンサルタント
  • 助成金アドバイザー
  • 経営支援コンサルタント
  • ○○診断士
  • ○○アドバイザー

など、さまざまな肩書を見かけます。

もちろん優秀な専門家も多数存在します。

しかし重要なのは肩書ではなく、実際に何を行うのかです。

  • 交渉を代理する
  • 法律相談を受ける
  • 税務申告を代行する
  • 登記申請を代行する
  • 許認可申請を代行する

といった行為は、法律によって資格者に認められた業務である可能性があります。

経営者が身を守るために

専門家へ依頼する際は、

  • どの資格を持っているのか
  • 登録番号はあるのか
  • どこまで対応できるのか

を確認する習慣を持つことが大切です。

安価な代行サービスや知人の紹介であっても、「その業務を行う資格があるのか」を一度確認するだけで、多くのトラブルを防ぐことができます。

特に近年は補助金申請やバックオフィス支援など、士業とコンサルティングの境界が見えにくいサービスも増えています。

だからこそ経営者には、「誰に頼むか」だけでなく、「その人が何をしてよいのか」を知る視点が求められます。

専門家選びもまた、重要な経営判断のひとつなのです。