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「タダでもいいから手放したい」――空き家・空き地が“負動産”になる時代

「実家を相続したものの、誰も住まない。」

「売ろうとしても買い手がつかない。」
「寄付しようにも受け取ってくれるところがない。」

「毎年、草刈りや固定資産税だけがかかる。」

こうした悩みを抱える人は、決して少なくありません。

一般的に「不動産」と聞くと、資産価値があり、いざとなれば売却できるものというイメージがあります。しかし、人口減少や地方の過疎化が進むなかで、その常識は大きく変わりつつあります。

いま日本では、「持っているだけでお金がかかる」「手放したくても手放せない」という、いわゆる『負動産(ふどうさん)』の問題が全国で広がっています。

なぜ放置されてしまうのか

空き家や空き地が放置されると、「所有者の責任感がない」と見られてしまうことがあります。しかし、実際にはそう単純な話ではありません。

例えば、古い実家を相続したものの、

  • 不動産会社に相談しても「値段はつきません」と言われる
  • 自治体や団体にも寄付を断られる
  • 解体には100万円以上かかる
  • 毎年の草刈りや固定資産税も必要になる

という状況に直面することがあります。

そして最も大きいのが、「いらないから」といって簡単に所有権を放棄できないことです。

結果として、

売れない
あげられない
捨てられない

という、まるで身動きの取れない状態に陥ってしまうのです。

所有者自身も困り果てているケースが多く、放置は必ずしも無責任さだけで生じているわけではありません。

現実的にできることはあるのか

では、このような場合に所有者は何ができるのでしょうか。

① 空き家バンクへの登録を検討する

市場では価値がつかなくても、移住希望者やDIY愛好家、家庭菜園をしたい人などに需要がある場合があります。

実際に、「0円物件」や無償譲渡という形で引き取り手が見つかるケースもあります。

② 隣地所有者へ相談してみる

一般市場では価値がなくても、隣人にとっては、

  • 駐車場を広げたい
  • 庭を拡張したい
  • 日当たりを確保したい

といった理由から、魅力的な土地になることがあります。

意外にも、最も現実的な解決策になることがあります。

③ 引取サービスを利用する

近年では、いわゆる「負動産」を専門に引き取る事業者も増えています。

ただし、一定の費用負担が必要になることが一般的であり、契約内容や事業者の信頼性は十分に確認したいところです。

④ 解体して更地にする

老朽化した建物がネックになっている場合、更地にすることで活用の可能性が広がることもあります。

一方で、解体費用は決して小さくなく、固定資産税の負担が変わるケースもあるため、慎重な判断が必要です。

⑤ 相続土地国庫帰属制度を調べてみる

2023年から始まった制度で、一定の条件を満たせば土地を国に引き取ってもらえる可能性があります。

ただし、

  • 建物が残っている
  • 境界が不明確
  • 担保権が設定されている

などの場合には利用できず、負担金も必要となります。

「不要だから国へ返せばよい」というほど簡単な制度ではありません。

「財産」が「義務」に変わる時代

かつて土地や家は、「いつか役に立つ資産」と考えられていました。

しかし、人口減少社会では、地域によってはそれが「維持費だけがかかる義務」へと変わっています。

もちろん、所有者として管理責任はあります。しかし同時に、売ることも、譲ることも、放棄することも難しいという制度上の問題があることも事実です。

空き家・空き地問題は、単なる個人の問題ではありません。

「いらない不動産をどう社会全体で受け止めていくのか」。

これからの日本では、その仕組みづくり自体が問われているのかもしれません。

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